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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1638号 判決 1950年3月09日

被告人

中家淸子

主文

本件控訴を棄却する。

当審における訴訟費用は、被告人の負担とする。

理由

弁護人中沢信雄の控訴趣意第二点について。

原判決は、所論の通り燒酎並に醪を製造するにつき、その原料並に製造方法を具体的に説明して居らず、この点において判決の理由説明としては、不備で非難すべきものであるが原判決掲示の証拠と照し合せて見れば、その原料並に製造方法が窺えないことはない。即ち起訴状には原料並に製造方法が明記してあつて、被告人は原審公判廷でこの事実(起訴状記載の数量の点のみを争つて他は認めている)を全部認め、原判決がこれを証拠に援用しているのでこれと原判決の犯罪事実とを照し合せると、犯罪の手段方法が推知できるので、前記判決の犯罪事実の記載の不備は、判決に影響するものでないと解されるから、論旨は採用することができない。

(弁護人中沢信雄の控訴趣意第二点。)

原判決は被告人は免許を受けないで燒酎一斗五升余、醪約三斗七升余を製造したりと判示して居るが同事実摘示は刑事裁判に於ける具体的事実の摘示とは認められない、「人を殺し」「賭博を為し」と判示するに等しい。

酒税法の解釈上に於ても原料手段方法に一定の範囲があり如何なる原料、方法によるも問わざる趣旨ではないものと思料する。

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